
今日、私たちが飼育するウサギといえば、ネザーランドドワーフ、ロップイヤー、レッキス、アンゴラなどのアナウサギ(ウサギ科アナウサギ属)が大半を占めます。
アナウサギの飼育は、11~12世紀に欧州で始まったといわれ、日本では室町時代に伝来し、飼育は明治初期だといわれています。「不思議の国のアリス」「ピーターラビット」などの絵本やアニメ、小学校のいきもの係などを通じて親しみを感じる環境が整っているように思います。こうした環境が世界各地で多くのウサギ愛好家たちを生みだしている要因となっているのではないでしょうか。
そんなウサギ愛好家の共通の話題の一つにダイエットがあります。 適切な食事量と栄養について関心が高いようです。粗繊維30%以上、カルシウム、ビタミンB、Dのバランスが・・・、といった感じです。ウサギが健康な生活を送るには、どうすればよいのでしょうか。本稿が読者の飼育環境の参考になれば幸いです。
まず野生のアナウサギの基本的な情報をご紹介します。
成熟したウサギの体重:1.5~2.5kg。
成熟したウサギの体長:38~50cm。
平均寿命:8~12年。
平均体温:39.0ºC。
1日に約4.8km運動します。
ウサギの前歯は、週3mm、年間12cm程度、伸びます。
1日活動時間の70%は食事をしています。
ウサギは通常のコロコロした乾燥気味の糞とは別に、タンパク質、ビタミンB群などの栄養を豊富に含んだ特殊な糞を選択的に排泄し、それを食べて栄養補給します。
グループで生活しますが、成長につれてテリトリー意識が高くなります。
子供をたくさん産みます。

このことから飼育環境での健康的な生活を考えてみます。
成熟したウサギの標準モデルの献立を提示させていただきます。
主食は干し草(チモシーを主に少量のアルファルファ)。
ペレットを朝・夕一回ずつ体重に合わせて与える。給餌量はペレット商品毎の記載内容をご確認ください。
食事の中でも、干し草の食物繊維が重要で、歯や腸の病気の予防になります。
干し草、そして水は、なくならないようにしておきましょう。
食事面だけでなく、メンタルケアも必要です。
お出かけ(日光にあたる)して運動をさせることでストレスを解消してあげましょう。 運動することでビタミンD、カルシウムも強化されます。
お出かけの時は迷子にならないように、サイズの合ったハーネスを使用しましょう。
野良猫、犬、トンビやカラスなどの被害に遭わないよう目を離さないでください。
好奇心旺盛なウサギのためにオモチャを用意したりするのもよいでしょう。
ウサギとスキンシップをとりましょう。
スキンシップはウサギの不安を取り去り、健やかな性格を育みます。
合わせて、毎週の歯、ツメ、糞、体重など健康チェックを行うことで病気の兆候に気づきやすくなります。
2羽のウサギを飼育することで安心感を与えることもできますが、仲が悪いとケンカになったり、
オス・メスを一緒に飼育するとあっという間に子供が増えてしまうので注意が必要です。
上記を参考に個々のウサギに合わせ調整を行っていただければと思います。
マルカンでは、引き続き、ウサギの健康な生活について、皆様とご一緒に考えてまいります。
【参考資料】
「エキゾチックアニマルの生物学(VI)― ウサギの特徴と飼育に際しての留意点 ―」
深瀬 徹,日本獣医師会雑誌,2006年 59巻 2号 87-89
「アナウサギの日本飼育史(日本絵画でたどる)」
日本獣医史学雑誌 第53号(2016):平成28年2月
「うさぎたちと日本の近現代―日本十二支考〈卯〉生活文化篇―」
濱田 陽,イ ヒャンス 帝京大学文学部紀要 日本文化学 (42), 169-184, 2011-03-31
The Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals (RSPCA)
https://www.rspca.org.uk/home
The Rabbit Welfare Association & Fund (RWAF)
https://rabbitwelfare.co.uk/