ハムスターの飼育 注意したい7つのこと
もっとも大切なのは、その動物でどんなことがみられるかということではないか。
そしてこの点では、このいちばんひかえめなゴールデンハムスターは、
一般に賞賛されている多くの室内動物にまさっている。
コンラート・ローレンツ『ソロモンの指環』
動物行動学の基礎を確立しノーベル生理学・医学賞を受賞したコンラート・ローレンツ(1903-1989)は、自宅のテラリウムでゴールデンハムスターの親子を飼育し、ハムスターたちが転がりあったり、荒々しくとび跳ねたり、急に耳をピンとたて立ち上がったりする様子をみて癒されていたということです。
また、ハムスターは夜行性であるため、都会で忙しく働く動物好きな人たちに最もオススメしたい動物ともいっています。
当時のペットショップには、ハムスターは希少で一般に知られていませんでしたが、今日では多くの品種のハムスターがいて、店員さんに飼育方法を聞いたり本を読んだり、体調が悪くなると獣医さんに見せることができるようになりました。ハムスターの飼育が簡単になったといえます。
とはいえ、ハムスター飼育を始めるあたり、店員さんにすべてを聞くことはできないかもしれません。飼育のガイドとして注意したい7つことをご紹介することで、飼い主さんの一助になれば幸いです。
フード
1日の食事は、体重の5~10%ぐらいを目安に、1回与えます。食べ残しは、毎日取り替えてあげるとよいでしょう。
食事には、タンパク質、ビタミン、カルシウムを意識して少量を盛り込むようにすると栄養のバランスがよいです。
栄養が不足すると脱毛や下痢などを起こすことがあります。
高カロリー食材は肥満の原因になるため、頻繁に与えることは避けましょう。
ハムスターは雑食ですが、有害となる食材があり注意が必要です。
◎注意したい食材
「タマネギ、ニラ、ネギ」
ハムスターの赤血球を破壊する物質が含まれています。
「アボカド」
呼吸困難や肝機能に障害を引き起こす可能性があります。
「ドングリ 、茶葉」
ドングリに含まれるタンニンはハムスターにとって有毒です。
「ほうれん草」
シュウ酸が栄養の吸収を阻害します。
「ウメ・モモの種子」
種子に含まれるアミグダリンはハムスターにとって有毒です。
水分
1日に必要な水分量は体重の8~10%といわれていますが、給水ボトルなどで自由に飲めるようにしましょう。
必要な量は、自分で決めて飲みますが、好きな野菜に多くの水分が含まれる場合、下痢になることがあります。与える野菜には注意してください。
多頭飼い
基本的には1つのケージに1匹で飼育します。複数を同じケージで飼育するとケンカになる可能性があります。また、繁殖力が高く、どんどん頭数が増えてしまいます。 多頭飼いは、飼育上級者になってから検討するのがよさそうです。
砂浴び
ハムスターは被毛を清潔に保つため、砂浴びをします。毛についた油を砂でこすり落とします。香りつきの砂はハムスターの呼吸器系に問題を起こす可能性があるので避けてください。
温度
適温は20~23度。冬季にヒーターを設置する場合、ヒーターの効き過ぎの際に、ハムスターが避難できるようにケージ内に温度差をつけるようにしましょう。
運動
ハムスターは、1日に9 ~21km走る動物です。運動不足や退屈しないように「回し車」を用意しましょう。
病気の兆候
日常の観察で体調の変化に気づいたら獣医さんに診てもらいましょう。
ハムスターは調子の悪さを隠してしまうこともあるので、よく観察しましょう。
【病気の兆候例】
下痢。体重の減少。毛並みの状態。水分摂取量の増加。おしっこに血が混じる。咳・くしゃみ・鼻や目から粘膜がでている。耳や体にイボやしこりができる。足の腫れ。歯が黄色みがかっておらず白くなっている。
それでは、私たちもわんぱくで愛嬌のあるハムスターの様子をみてみることにしましょう!
(引用) 著 コンラート・ローレンツ 訳 日高敏隆「ソロモンの指環 -動物行動学入門-」(早川書房2014)